2025.06.25
池内の家
変わるもの 変わらないもの

新築時には一室としておき、子どもが大きくなったときに間仕切壁や建具を入れて分割できるように計画していた子ども部屋。
4年前、一番上の子どもが中学生になるときに、奥の部分を仕切って個室にしています。
参照:「つくってきたもの」-「子ども部屋」

今回、残りの部分にも間仕切壁と建具などを入れて、全て個室にしました。
床を板張りにしていた部分が廊下となり、上部には一緒につくったロフトの床板が廊下の天井となって現し(あらわし)で見えています。
閉じられたことで光が入りにくくなったため、天井から照明器具を吊して明るさを得られるようにしました。
照明をつけると「縁日のあかり」や「漁り火」のようで、家の中でありながら路地のようにも感じられます。

子ども部屋の扉の隣には、廊下から家族みんなが使える本棚を設けています。
本棚は、上と下の2段ずつをA5判用として、大人や年上の子どもが読む本の置場になっています。
真ん中の3段は小B6判用として、少年・少女漫画などのコミック本の置場になっており、身長の低い年下の子どもの手が届くようにしています。

それぞれの子ども部屋にはロフトが付いており、ロフトを除いた広さは3畳半です。
勉強をしたり寝るために必要な最低限の広さとすることで、部屋にこもり過ぎないようにすると共に、居間や食堂といった家族のための空間に面積を使えるようにしています。
この家ではこれまでにも何度か改修を行っていますが、家族の変化に合わせてこれからも変わることがあるかもしれません。

今回の工事を行ったのは新築時に棟梁を務めた大工さんでは無く、若い大工さんが棟梁の指導の下で工事を行いました。
棟梁からすると前もって指示してしまいたくなることが度々あったそうですが、本人に考えさせることが大事との思いから余り言わないようにしていたそうです。
設計者である自分も時の流れと共に年を重ねており、世の中の変化も相まって設計のやり方は昔に比べると変わりました。
しかし、自然素材という本当の材料を用いて家をつくることは、これからも変わらないと思います。
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