2023.10.18

旅の記録

滋賀県大津市

建築物見学の旅程を計画するにあたり、見学する建築物を探すときは、日本建築士会連合会女性委員会が制作した「魅力ある和の空間ガイドブック WEB版」が参考になっています。
地元の建築士の方々の手で作られているため、他の媒体では見かけない建築物が紹介されていたり、建築士の目線で記された説明書きにも興味を惹かれます。

今回はその中から、滋賀県大津市の米問屋の店舗兼住宅であった建築物を宿泊施設に改修した「大津町家の宿 粋世(いなせ)」を訪れました。

敷地周辺は、東海道の宿場町 大津宿にあたります。
敷地は、道路に面する間口に対して奥行きが3倍ほどあり、うなぎの寝床のようなタテ長の形状をしています。

道路に面した入口から裏庭まで建築物内を土足で通り抜けられるように「通り土間」が設けられており、通り土間の途中に位置する台所の上部が「火袋」という煙を逃がしたり陽ざしを取入れるための吹抜けになっています。
「通り土間」「火袋」という外部のような立体的要素を内包していることで、屋内でありながら開放的な空間に感じられました。

こういった過去の建築物に用いられている要素を自分の設計に取入れる場合には、そのまま形を真似るのではなく、時代と共に変化している生活様式に対して必要とされる機能を満足させたうえで形態を再構築しなければならないと、改めて考えさせられる良い機会になりました。

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